遅れる生物多様性保全 地球の危機直視し行動を
Biodiversity Conservation Is Lagging: Face the Planet's Crisis and Act
生物多様性の危機は深刻さを増している。対策を加速させなければならない。
アルメニアで先月開かれた国連の生物多様性条約第17回締約国会議(COP17)で、取り組みが遅れている現状へ深い懸念を示し、対策強化で合意する文書が採択された。ただ、経済システムを変革する具体策や資金調達では踏み込んだ内容を盛り込めず、実効性に課題を残した。
国際NGOの分析によると、生態系の多様さを示す指数が1970年からの約50年間で約7割も低下した。推計800万種を数える世界の動植物のうち、約100万種が絶滅の危機に直面しているとのデータもある。
やるべきことは明白だ。2022年のCOP15では、生物多様性の損失に歯止めをかけて回復させるため、30年までに達成を目指す23の国際目標がまとまった。
陸域・海域の各30%を保護区域とすることや、外来種の削減、企業活動が及ぼす影響の評価と開示などを掲げた。気候変動対策の「パリ協定」と同様に、各国が自主的に目標を設定し、取り組みを進める仕組みとした。
しかし、国連が現状を分析したところ、締約国の9割が目標を策定したが、すべて実現しても国際目標の達成には届かないことが明らかになった。順調に進んでいる施策も半分に満たなかった。
COP17では、現状への危機感は共有された。ただ、対策を強化する具体論に入ると、締約国間の溝が浮き彫りになった。
とりわけ遅れが目立つのが、生態系を損ねる乱開発や地球温暖化を招く「有害な補助金」の削減だ。欧州などが実施を強く促すよう求めたのに対して、経済成長への影響を嫌う国は反発し、「各国の事情に応じて実施を加速する」との文言にとどまった。
資金不足を補うため、拠出を担う先進国の範囲の拡大も議題となった。だが、「新たに資金を出す意思のある国が自主的に申し出る」という妥協案に終わった。
人々の暮らしや企業活動は自然の恵みに依存する。それを支えるのが豊かな生態系だ。いったん破壊されれば取り返しがつかない。目標を掛け声に終わらせず、行動に移すことが各国に求められる。
理解度チェック Comprehension check
筆者の主張として最も適当なものはどれか。
COP17で採択された文書について、筆者はどのように評価しているか。
国連の分析によって明らかになったこととして、本文の内容と合っているものはどれか。
「有害な補助金」の削減について、合意文書の文言が弱いものになったのはなぜか。
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